「ヌック」とは
こんにちは。TSUGUTE.sagaeの石井です。
今日は「ヌック」というテーマについてお話したいと思います。
「ヌック」と言うのは、家の中にある小規模なプライベートスペースの事で、書斎よりももっとラフにリラックスも目的とした空間です。よく階段下の斜めの部分を利用して洞穴のような空間を作る事が多いようです。
語源はイギリスのスコットランド語で建築様式をあらわすneuk(ヌーク)からきているそうです。家の中にヌックのような居心地の良い落ち着ける居場所があると、家の満足度も上がります。
自宅にヌックの要素を取り入れる
自宅の設計の中で本棚の周りのスペースを、落ち着いて(閉じこもって)読書が出来るスペースにしたいと言う想いから、その部分を少し囲う様な設計を考えていました。すると妻からそれならいっそうヌックにしようと言う提案がありました。私はヌックというスペースの存在を恥ずかしながら、言われるまで名前すら知らなかったのですが、妻は東京の設計デザイン会社に在宅ワークで働いている経験から、最近はヌックを取り入れる設計が増えてきたと言う事を教えてもらいました。また調べてみると、私がやりたい事を叶えるためのスペースを設計されたものに名前を付けるとすると、まさにヌックであるように感じました。
ヌック必要?
少し流行りものでもあり、必要不可欠かと言われると必要ない空間かもしれません。しかし住宅を持つ事でどんな体験を得たいのか、どんな人生を送りたいか等を想像すると、私にとっては必要な空間だと思いました。
長い間世界1位の教育レベルだったフィンランドの学校建築では、あえて子供が隠れる事の出来る空間をたくさん作るそうです。大人だけでなく子供も集団生活の中で一人になりたい時間もあるからという理由のようですが、大人が子供を管理するために職員室から校庭が一望でき、なるべく隠れるところがないように設計する日本とは、作り手側の想いの違いを強く感じてしまいます。住宅でも、そこに「住む人にとって優しい空間」を考えた時、大人にも子供にも一人になれるヌックのような空間が必要なのかもしれません。
そういえば、このこもった感じ、懐かしさもある気がします。小さい頃に2段ベッドの下の段をシーツで覆って秘密基地にして、わざわざそこに懐中電灯を持って行って本を読んでいました。何が楽しい訳では無いけど、周りの事が遮断されることでより目の前の事に集中でき、より深く集中できる楽しい空間だったと覚えています。
今の生活に取り入れてみる
なかなか忙しい毎日の中で、少しこもりたい。何か一つの物事を集中して考えたり、本を集中して一気読みしたりと考えている人も多いと思います。また既に電車の中で、車の中で、トイレの中で、一人になれる時間を集中できる時間として既に使っている人もいるかもしれません。フィンランドの学校と同じで、住宅という建築物の中にもこのような一人になれるスペース(=ヌック)があっても良いかもしれません。家にヌックを作ってみませんか。
今日も最後まで読んで頂きありがとうございました。