住宅劣化の原因
こんにちは。TSUGUTE.sagaeの石井です。
今日は「劣化」というテーマについてお話したいと思います。私は東京で築100年の住宅に住んでいました。大正末期の住宅は場所によっては朽ちてきていたりする部分も当然ありますが、多くの部分が現役でした。
家は100年もつ
私の持論としては、子供や孫の金策や避難場所として、せめて100年保つ住宅を作りたいと考えていますので、確かに昔ほど良い材料は入り難いかもしれませんが、知恵を絞って地域に根差した永く住み続けられる家を作りたいと考えていました。
家が保たなくなる理由
そこで100年前からの住宅と、最近の住宅を見比べてどんな場所や素材がもたないのか調べると、住宅の劣化がどんな部分から発生するのかが見えてきます。
水に濡れる
先ずは当たり前かも知れませんが、雨のあたる、水が回る部分です。100年経つ私の家でも、雨といが壊れていて水しぶきが掛かるようになってしまった納戸(全然入らない部屋だったため発見が遅れてしまったのですが)の外壁部分は、私が実家を離れていた10年程で水のかかる部分は腐り、土壁が落ちて、部分的にではありますが穴まで空いている状況でした。また台風か地震か何かで瓦が落ちてしまっていた部分も、その屋根下地の板材だけでなく、その下の土の壁まではげ落ちている状況でした。
日に当たる
次に日光に当たる部分が劣化が激しい部分となります。私の家は屋根が瓦葺きと、トタン葺き、銅葺きとなっていて、瓦は100年の間に4回ほど交換(多分ですが)。トタンについては、数度の塗り直し、銅については葺き替え無しの状況でした。これらの屋根における劣化はトタンの塗料が紫外線で劣化し、ボロボロ剥がれてくる状況でしたが、品質的なトラブルはおきませんでした。それよりも日の当たる木部の木の劣化が激しく、特に軒の出が少ない部分は、木が繊維だけに痩せてしまって、水もかかる部分は少し土に変化していました。また後々私が漆喰を補修した変性シリコンの窓のガラス周り等も10年程度で表面がボロボロになり、木部と剥離してしまっていました。トタンに塗ったペンキもそうですが、石油由来の化学的な建材の方が日光による劣化が激しく感じます。リフォームで様々な住宅を訪問していた時も、木製の扉を採用している住宅も、日が当たるところに木製扉があると、表面のコート材(樹脂被膜だと思いますが)バリバリに剥離してしまっている状況が多かったように感じます。木製や樹脂等表面が劣化する素材に関しては、なるべく日陰に設置する事をおすすめいたします。
修復可能な材料を選ぶ
また、木材は傷んだ箇所を部分的に交換して修復する事が可能ですが、樹脂系だとその物を丸々交換しないと修復することが出来ません。またここ数十年、建築業界では樹脂を始めとした石油系の材料を原料とした建材である「新建材」で建てるのが一般的となっていて、これも容易に修復する事が出来ない理由となっています。ちなみに価格についてはどちらも上がっていますので、後々の事も考えると、可能な限り木製の仕上げとする事をおすすめしております
100年後から逆算して家を保たせる方法を考える
このように単純なことかも知れませんが、樹脂を使わずに水と太陽を防ぐと家は長持ちします。100年快適に過ごせる住宅をつくるため、以下3点を重視するべきだとかんがえています。
①雨にあたる壁が少なくなるよう軒をだす。
②日の当たる壁が少なくなるよう軒をだす。
この二つの「対策」は一緒です
③石油由来の建材をなるべく使わない
と対策を書いてみると、あまり難しい事ではないような気はしていますが、実践しているハウスメーカーはほとんどありません。理由は③の達成が難しいからです。私達も可能な限り③も含めプランを練っています。昭和までは当たり前に行われていた石油由来の製品を使わず、軒を出して日や雨をしのげる家。難しいです。最後まで読んで頂きありがとうございました。