軒(のき)やひさしの役割と必要性

こんにちは。TSUGUTE.sagaeの石井です。今日は、「軒(のき)」というテーマで私の考えを書きたいと思います。軒というのは屋根の端が建物よりも飛び出している部分で、ひさしは窓や扉の上に飛び出している屋根の事です。

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軒(のき)は絶対必要です

最近の住宅では軒の無い家が多く見受けられます。軒が無いと住宅がシンプルでモダンな印象になるため、また隣地との境界が狭く敷地いっぱいに住宅を建てるため軒が出せないといった理由からだと考えています。

私は「軒を出す」という設計を積極的に行いたい考えています。理由は以下の3点です。

①壁からの漏水の可能性が低い

壁からの漏水の可能性について、まず雨水からの漏水が発生している箇所の7割は「壁」で発生しています。屋根が2割、その他が1割です。屋根が少なくて意外かもしれませんが、屋根は一番雨水がかかる場所なので雨水の通り道を確保する施工方法(雨仕舞いと言います)が確立していて、太陽光で屋根に穴を開けたり、陸屋根(平らな屋根)で防水が切れたりしない限りは、屋根から漏水する事はなかなかありません。

一方で、壁は窓が付いている箇所や、換気のガラリ(空気を取込むルーバー部分)やエアコンの貫通部など、壁の凹凸部分の防水処理が難しい箇所が多いです。また上手く処理をしていたとしても、防水のためのシーリング(防水・隙間埋めのための樹脂充填材)が太陽光・風雨にさらされだんだん劣化、場合によっては切れてしまい漏水が発生するケースが結構あります。これを防ぐためにも、軒を出しⅰ)壁をなるべく雨水線(軒から壁に向かって45度のライン)内に入れるⅱ)軒を利用して日差しがシーリング部になるべくかからないように配慮するⅲ)軒で出が足りない(雨水線より外に構造物がある)場合にはひさしを取り付ける必要があります。

②太陽のエネルギーを上手く活用出来る

パッシブデザイン(自然のエネルギーの力を利用して住宅の省エネを促す設計)を考えた時、太陽の光と熱エネルギーの利用と遮断はとても重要です。例えば夏の高度の高い日差し(北側直上からや、西日等)は遮る、冬の高度の低い日差し(南側の角度の低いものや、朝の東側からの日差し) は取り入れる、といった具合で軒と窓を計画することで、夏を涼しく、冬は暖かい住宅を作る事が可能です。

③見た目が良い

見た目の点について、これは好き嫌いや考え方にもよりますが、私が建物を見て綺麗だと感じたり、高級感があるなと感じる建物は、軒の出がしっかり確保されていて、軒天(軒の下からみた天井の部分)が垂木のあらわし(骨組みの木:お寺みたいな)が見えてたり、無垢等の木が貼ってあったりする建物です。また軒をだす事により、建物全体を華奢(きゃしゃ)に見せ洗練された印象にする事が可能です。

これらの裏返しで軒が出ていない建物は漏水しやすかったり、見た目が少しチープ(私見ですが…)になってしまったり、あまり良いところが少ないようにも感じますが、建売分譲などの広告を見ると軒の無い建物は実際数多い状況です。

最後に

住宅において、基本性能である雨や雪を防ぐという機能が崩壊してしまうと、構造や断熱等多くの機能が全て駄目になってしまいます。安全に住宅の機能を使って頂くためにもしっかり軒の出た住宅をご案内したいと考えています。それでは今日も最後まで読んで頂きありがとうございました。

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